『まろ、ん? ー 大掴源氏物語』

去年の春頃から、”源氏物語千年紀”のキャンペーンを
いろんなところで見かけました。
このキャンペーンのおかげで、
僕がたまに立ち寄る本屋さんにも
源氏物語の特設コーナーができていて、
そこで面白い本を手に入れることができました。


この『まろ、ん? ー 大掴源氏物語は、
源氏物語の漫画翻訳本です。
宇治十帖を含めた源氏物語五十四帖全てが、
見開き1ページ、8コマ漫画で描かれています。


源氏物語には昔から興味が有って、
高校生の頃、谷川源氏と田辺源氏を読みかけたのですが、
どちらも途中で挫折してしまいました。
それでも、要約文を読んだり、古文の授業で習ったりで、
なんとなくお話はわかった気になっていたんですが、
この『まろ、ん?』を読んで
源氏物語がいっそう好きになりました。


この本の中での光源氏は”栗”です。
”麿(まろ)”と”栗(まろん)”を掛けた苦しい駄洒落です。
ですが、この”まろ”、とても愛らしいキャラクターで、
僕の中の光源氏のイメージにぴったりはまってしまいました。
ちなみに頭中将は”そらまめ”です。
源氏物語の漫画版といえば、
あさきゆめみし』が有名ですが、
あの絵が自分のイメージと合わず、
どうもしっくりこなかった僕には、
この本は最高の源氏物語入門書になりました。


今まで一度も辿り着いたことが無かった、
宇治十帖の内容だけでなく、
”まろ”の最愛の妻、”紫”が
思ったより幸せそうではないこと、
酷い扱いだと思っていた”末摘花”が
案外幸せになっていることなどなど、
この本を読んで新しい発見がたくさんありました。


源氏物語そのものに対しては、
今までと同じ感想をより強く抱きました。


”男って馬鹿な生き物だなぁ”


『雨夜の品定め』なんて読むと、
1000年の間、男って生き物が
まったく成長していないことがよくわかります。


個人的には”朧月夜”みたいな女の娘が好きかなぁ。
昔は”紫”が好きだったんですけど。


『手に摘みて いつしかも見ん 紫の
 ねにかよひける 野辺の若くさ』


まろ、ん?―大掴源氏物語

まろ、ん?―大掴源氏物語