『此よりは荒野』


先日の『ゴム銃』以来のガンマニアモードがまだ続いています。
そんな中、たまたま見つけた本『此よりは荒野』。
西部劇とファンタジーという
僕的にはかなりハイブリッドな組み合わせのお話です。


期待に違わず、読み始めて10ページくらいで
このお話の世界に引きずり込まれてました。
トロールやゴブリンなどの亜人種、
人狼などのライカンスロープ
果ては吸血鬼や淫魔といった魔族まで出てきますが、
お話は正当な西部劇です。


両親の仇を取ることを誓う保安官補の主人公、アラン。
『屍人殺し』の二つ名を持つ凄腕の女ガンマン、ステラ。
アランを見守る娼婦にして淫魔のサンディ、
アランを慕う天涯孤独の少女、ジョゼ。
けして浅くない傷を持った彼らの戦いと
そこに向かう覚悟は
これ以上ないくらい僕の心を震わせてくれました。
ここまでお話の中の世界にのめり込んだのは久しぶりでした。


なんですが……
まさか2冊続けて同じ思いを味わう事になるとは。


昨日も書きましたが、
たとえ作り話の中でも許せないものがあります。
レイプシーンがそれです。
吐き気がするぐらい嫌なんです。
心にも身体にも傷を持つ女性キャラクターを作るのに、
これ以外の手段を選ぶ事ってできないかな。
偏見を承知で云いますが、
こういうシーンを書く人は、
そういう願望があるんじゃないかと
下衆な勘繰りをしてしまうぐらい嫌なんです。


この本も昨日の『クラウン・フリント』も
そこまで直接的な表現や描写は無いのですが、
どうしてもテンションが下がってしまいます。


このところ読んだ本の中では、ダントツで面白かった分、
余計にどこか消化不良な気分です。



『尾を曳く影もやがて遠ざかり、
 地平線の彼方へと消えてゆく。
 ただ風の吹き過ぎて、
 澄み渡った蒼穹に静寂のいつしか戻り来たればーー
 此よりは、荒野』


Gunning for Nosferatus〈1〉此よりは荒野 (ガガガ文庫)

Gunning for Nosferatus〈1〉此よりは荒野 (ガガガ文庫)


一つ、気になったこと。
この『此よりは荒野』と昨日の『クラウン・フリント』
クライマックスのシーンの構図がまったく同じ感じなんです。
出版社が同じで、発売時期もほとんど一緒、
編集責任者も同じ人……
ちょっといただけないなぁ。