『アクセル・ワールド』

このアクセル・ワールドという作品、
'08年の電撃小説大賞、大賞受賞作だそうです。


僕が気に入っている小説のいくつか、
例えば『ハルヒ』や『狼と香辛料』、
ラグナロク』『トリニティ・ブラッド
『コールド・ゲヘナ』『されど罪人は竜と踊る』etc..が
電撃小説大賞スニーカー大賞の受賞作だったので、
この『アクセル・ワールド』もどんな作品か、
興味津々で本屋さんに行ってみたのですが……
どこにも置いてない。
何店か廻ってみたのですが、どこにもない。
入荷されてないのかと思い、店員さんに聞いてみると
どこもかしこも売り切れ。
ネットのニュースで見た売上ランキングでも1位だったりで、
新人作家のデビュー作がなんでそんなに売れてるのか、
気になって調べてみたら、著者の川原礫氏、
九里史生という名でネット上で小説を公開していて、
ものすごい人気だったそうなのです。


つい先日ようやく手に入れ、読んでみたのですが、
なるほど、さすがに面白い。


舞台は近未来、”ニューロリンカー”と呼ばれる
脳と直結する端末により、
仮想現実にダイブすることができる世界。
攻殻機動隊草薙素子みたいな感じですね。
たった2行の世界設定ですでにやられてしまいました。
僕にもニューロリンカー着けてくれ。


物語は、デブでいじめられっ子で
ただゲームだけは得意な中学生、ハルユキが、
校内一の美少女“黒雪姫”から送られきた謎のアプリ、
一定時間だけ思考速度が千倍になる
”ブレイン・バースト”をインストールされ、
”黒雪姫”を護る騎士になる、
というところから始まります。
中学生の頃、デブでゲーマーだった僕は、
(いじめられっ子ではありませんでしたが)
主人公、ハルユキに共感しまくりでした。


”姫を護る騎士”

以前にも書きましたが、このポジション、
男の子にとっては最も憧れるものの一つでしょう。
でしょでしょ?
僕だけ?
いや、多分、宮崎駿氏はわかってくれるはず。
彼の作品は全部そんなんがテーマじゃん。


アクセル・ワールド (1)』とナンバリングされているので
シリーズ化は確定のようですし、
ネット上で人気を博していた(らしい)
ソードアートオンライン』という作品も
4月から刊行されるようで、期待大です。


僕はこのBLOGの中で、
毎回気に入った一文を紹介してきましたが、
今回は初めて、二つ書きます。
選びきれませんでした。
それくらい、このアクセル・ワールドというお話を
僕が気に入ったんだと思っていただければ。


『あの、ですね……。
 どんなゲームでも、エンディングを見るのを放棄して、
 その直前のマップを
 永遠にうろつきたいなんて奴がもしいたら、
 そいつはただのアホです。
 上のレベルがあるなら目指すのは当然……だって、
 そのためにブレイン・バーストは存在するんでしょう。』


『「守る。絶対に守ります。」
  ハルユキは、自分ひとりだけの青い世界で、
  声に出して言った。
 「なぜなら……僕は……。
  僕は、あなたに言わなきゃならない事があるんだ。
  もう一度会えた、その時に。
  だから、今度は、僕が戦います。」』


アクセル・ワールド〈1〉黒雪姫の帰還 (電撃文庫)

アクセル・ワールド〈1〉黒雪姫の帰還 (電撃文庫)


読み終えて、気になった点がいくつか。


その1。
アニメ化やゲーム化がしやすそうなお話だと思うんですが、
主人公、ハルユキと彼の架空世界でのアバターのデザインが、
さすがの猿飛』の肉丸くんそっくりなんですよねぇ。
これ、大丈夫なのか?ってくらいに。
これをこのままアニメ化したらまずいでしょ。


その2。
主要登場人物全員が中学生だったり、
”白銀の鴉”が翼を広げるシーンのイラストが
劇場版エヴァで初号機が翼を広げるシーンとそっくりだったり。
これも西尾維新氏が
ザレゴトディクショナル』の中で云っていた
エヴァの呪縛”ってやつですかねぇ。


その3。
この”ブレイン・バースト”というアプリ、
ファイル名が”BB2039.exe”。
なんだ、exeファイルじゃMacユーザーの僕は
インストールできないじゃん。


その4。
このお話のヒロイン”黒雪姫”が、
かるくツンデレ気味のキャラ設定。
また娘っ子にいらない誤解を与えそうで怖い。
正直、これが一番気になる……。