『ファイト・クラブ』Part2


昨日観たファイト・クラブが頭から離れず、
そのせいか、今日は一日中、メランコリックな気分でした。


昨日も書いたように、僕が不眠症を患っていたので、
主人公に感情移入しすぎたというのも理由にありますが、
もう一つ、ああいう
『生と死のコントラスト』
というテーマを見せつけられると、
どうしても、いろいろと考えをめぐらせてしまうのです。


4年前、僕は叔父を亡くしました。
僕は自分でも想像できなかったくらい
悲しみに暮れ、泣きわめき、ひどく落ち込みました。


叔父と特別仲が良かった、という訳ではなかったのですが、
僕は彼に対して、シンパシーのようなものを持っていました。
ただ、僕がそれに気付いたのは、
叔父が亡くなった、その時でした。


一人暮らしをしていた叔父は、
突然の病に倒れ、それからほどなくして
この世を去りました。


その1年後、今度は僕自身が身体を壊し、
一時は立っているのもつらいような状態になってしまいました。
不眠症を患ったのもこの頃でした。
直接命に関わるような病気ではありませんでしたが、
当時、やはり一人暮らしをしていた僕は、
叔父のこともあって、
そのとき、初めてリアルに自分の”死”を意識しました。
しかし、それと同時に、初めて自分の”生”を実感しました。


ファイト・クラブの主人公は、殴り合うことで初めて
自分の”生”を実感していました。
”死”を身近に置くことでしか、実感できない”生”。
自ら望んで、自らの身体を痛めつけ、
それによって”生”を掴んでいきます。


ファイト・クラブという映画のテーマは、
もちろんこれだけではありません。
主人公は暴力は何も生まないことに気付き、
痛みをのりこえ、自分と向き合っていきます。


ただ、僕には、この映画の
『生と死のコントラスト』の描き方が
強く心に残りました。


最近また、体調が悪化してきているせいか、
どうしてもこういうテーマに敏感になってしまいます。
村上春樹氏の『ノルウェイの森』の一節を思い出しました。



『死は生の対極にあるのではない。
 死は生に内包されている。』


このファイト・クラブ、原作の評判も良いみたいです。
見つけたら読んでみようかな。


ファイト・クラブ (ハヤカワ文庫NV)

ファイト・クラブ (ハヤカワ文庫NV)