『キラレ×キラレ』


今日は中学時代からの友人二人とお出かけ。
カフェを2店ハシゴして、4時間ほどくっちゃべってました。
彼らと話しているといつも思うこと。


世の中にはいろんな趣味・嗜好の人がいる。


ほんとに奴らの話にはいつもあっけにとられます。


そんな友人の片方に薦められた森博嗣氏の本。
薦められたのはずいぶん前だったんですけどね。


森氏のミステリーを読むのはこれが初めてで、
所謂”新本格”と呼ばれるミステリー作家であること、
某国立大学の工学部助教授であったこと、
おまけで出身地が僕と同じなことぐらいしか知りませんでした。


まずはイナイ×イナイのあらすじから。

「私の兄を捜していただきたいのです」
美術品鑑定を生業とする椙田事務所を訪れた
黒衣の美人・佐竹千鶴はこう切り出した。
都心の一等地に佇立する広大な佐竹屋敷、美しき双子、
数十年来、地下牢に閉じ込められているという行方不明の兄・鎮夫。
そして自ら“探偵”を名乗る男が登場する。
旧家で渦巻く凄惨な事件の香り…。


続けてキラレ×キラレのあらすじを。

「この頃、話題になっている、電車の切り裂き魔なんだけれど―」
三十代の女性が満員の車内で、
ナイフのようなもので襲われる事件が連続する。
“探偵”鷹知祐一朗と小川令子は
被害者が同じクリニックに通っている事実をつきとめるが、
その矢先、新たな切り裂き魔事件が発生し、
さらには殺人事件へと―。
犯行の異常な動機が浮かび上がるとき、
明らかになるものとは…。


この2作の読後感をなんと表現したらいいのか。
ずっともやもやした気分が晴れずにいます。
無理矢理に表すなら――


――怖い。


内容はわりとシンプルな、
無駄を削ぎ落としたようなミステリーで、
軽妙な会話とテンポで読ませ、
結末はあえてぼかしたような印象でした。


その内容が怖かった訳ではありません。


登場人物が怖かった。


みんな淡々としてるんです。
淡々と自分の役割をこなしていくんです。


人が死んでいるのに。


探偵役、ワトソン役だけではなく、
殺された被害者に近しい人たちもみんな、淡々と。


人が死んでいるのに。


西尾維新氏の『戯言シリーズ』のいーちゃんみたいに、
そういうキャラ設定であるなら構わないでしょう。
そうではなく、誰も彼も皆、感情が無いように見えるんです。


どうしてそんな風に振る舞えるんだろう。
君たちは犯人を探すことにしか興味がないのか。
君たちはトリックを暴くことにしか興味がないのか。


それが本当に怖い。


世の中にはいろんな人がいる。


わかってはいても、それを受け入れるのは、
それほど簡単なことではない。


僕にはミステリーを読む素養が
備わっていないのかもしれない。
つまらないお話だったわけでは無かっただけ余計に、
そう思ってしまいます。



『まぁ、これが普通だね。
 君はまだわからないかもしれないけれど、
 探偵なんて仕事は、だいたい、こんなもんだよ。』


イナイ×イナイ (講談社ノベルス)

イナイ×イナイ (講談社ノベルス)

キラレ×キラレ (講談社ノベルス)

キラレ×キラレ (講談社ノベルス)