『46番目の密室』


なにか面白いミステリーはないかと思い、
娘っ子が好きだと云っていた有栖川有栖を読んでみました。
多作の作家さんはどれから手を付けてよいのかわからないので、
娘っ子のおすすめ、『46番目の密室』を。


例によって例のごとく、Amazaonからあらすじを引用します。

45の密室トリックを発表した推理小説の大家、
真壁聖一が殺された。
密室と化した地下の書庫の暖炉に
上半身を突っ込むという悲惨な姿であった。
彼は自分の考えた46番目の密室トリックで殺されたのか?
推理作家・有栖川有栖
その友人で犯罪学者・火村英生のコンビが
怪事件の謎に迫る。


内容は正当派の新本格ミステリーです。
まぁ、こう断じることができるほど
ミステリーに明るくはないのですが。


ミステリーに明るくない分、密室トリックなんかは
僕にとっては新鮮で、予想のできない展開でした。
フーダニットも完全にミスリードにひっかかりました。


火村と有栖の掛け合いが小気味よく、
思った以上に楽しめました。


ですが…やはり僕は
フーダニット、ハウダニットばかり追いかける登場人物に
どうしても違和感を覚えてしまいます。
何度も同じことの繰り返しになりますが、
誰が、よりも
どうやって、よりも
大事なことがあるんじゃないかと思ってしまう。


ホワイダニットセクシャリティというのもいかがなものか。
動機がただの痴情のもつれでは
ヴァン・ダインの二十則にひっかかる以前に
チープになり過ぎてしまうとは思いますが、
”より効果的にするため”だけにホモセクシャルに動機を求めるのは、
いささか礼を失している気がします。
ホモセクシャルを否定するつもりは毛頭ありません)


ヘテロセクシャルでも辛い恋愛をしている人はいる。
ホモセクシャルでも幸せな人はいる。
それでも、敢えてそれを殺人の動機として使うなら、
そうでなければならない理由が欲しいな。
ドラマを盛り上げるための道具では絶対にないのだから。



『俺だけが知ったんだ。
 俺だけのものだ。
 俺だけが知っている。』


46番目の密室 (講談社文庫)

46番目の密室 (講談社文庫)