『狼と香辛料』


タイトルに惹かれて読み始めた、この狼と香辛料
表紙のイラストからか、なんとなく勝手に
「中世ヨーロッパ的なファンタジーもの」
をイメージしていたのですが、
完全に予想を裏切られました。良い意味で。


いや、正確に云えばこの物語は
「中世ヨーロッパ的なファンタジーもの」なのでしょう。
ですが所謂「剣と魔法の世界」のお話ではありません。
行商人のロレンスと狼の化身である少女ホロが
共に旅をする物語です。
ロレンスは行商人として、商いの場で戦っていきます。
そこにはファンタジーものにありがちな
派手な戦闘シーンやアクションシーンはありません。


この物語の魅力は、
ロレンスとホロの思わずにやけてしまうようなやりとり、
商人同士の巧妙な駆け引き等
”会話”の中にあると思います。


この本を読んでいると、麦の香りが漂ってくるような、
本当に柔らかくて温かい世界に入り込めます。
本を読んでいてこういう気分になったのは、
久しぶりかもしれません。



『わっちはぬしと旅がしたい。ダメかや?』



狼と香辛料 (電撃文庫)

狼と香辛料 (電撃文庫)