『書物迷宮』

僕が、本を読むのが好きだというと告げると、
”何か面白い本を教えて”と云われることが、ままあります。


こんなBLOGを書いておいてなんですが、
人に本を薦めるというのは
ホントに難しいことだと思ってます。
まして、人に本を贈るということになると、なおさら。
僕の、もう短いとは云えなくなってしまった人生の中でも、
人に本をプレゼントしたことなんて、
片手で数えられるほど、
それも、本当に特別な、本当に大切な人にだけ、です。


この『書物迷宮』の前作、『書物狩人』は、
その数少ない、人に贈った本の一つでした。


そんな僕にとって大切な本の一つの続編を
本屋さんで見つけたとき、
なぜか、心臓を鷲掴みにされたような気分になりました。
ひどく落ち着かないような、
ひどく不安にさせられるような。


感想としては、正直、前作の方が面白かったかな。
この本も
”偶然見つかった稀覯本が、歴史の裏を語り出す”
といった歴史ミステリーの一種だと思うのですが、
このところ歴史ミステリーを
立て続けに読んでいたこともあってか、
かなり論が強引に展開されている感じがしました。
前作ではかなりミステリアスな雰囲気だった主人公が、
今作では、ただの斜に構えた奴、
みたいな風になってるし。


それでも、本好き、読書好きにとっては、憧憬の世界、
楽しめる作品では、ありました。


きっと、この『書物迷宮』をどこかの本屋さんで見つけて、
読んでくれていることを期待しています。


『職業がら、いくつも大きな書庫を持っておりますが、
 この本ばかりは、とても入りきらない。
 残念ながら、読みたくなったときには、
 また、ここに来るしかないようです。』


書物迷宮 (講談社ノベルス)

書物迷宮 (講談社ノベルス)