『狼と香辛料 (8) (9) 対立の町(上)(下)』

明日は待ちに待ったcoldplayのライヴ。
その、埼玉まで行く電車の中で読む本を探そうと思い、
ちょっと大きめの本屋さんに立ち寄ったところ、
狼と香辛料』の最新巻、10巻が発売になってました。
さっそく購入し、斜め読みでパラパラめくっていると、
何故か違和感が。
なんとなく話が繋がっていない気がしたのです。
嫌な予感がして、うちに帰って確かめてみると案の定。
7,8,9巻、読んでないじゃん…。
そういえば、7巻が外伝的な短編集だったんで
なんとなく気が削がれ、
読むの後回しにしたのを完全に忘れてました。
そんな訳で、
慌てて狼と香辛料 (8) (9) 対立の町(上)(下)』を読みました。
とりあえず外伝はまた今度。


8,9巻は久しぶりに商売のお話がメイン。
ホロとロレンスのラブい感じのお話も好きですが、
ずっと営業の仕事をしていたことも影響しているのか、
こういう”先を読む”とか”裏を掻く”といった
”駆け引き”が大好きです。
”私の前では悪魔だって全席指定、
 正々堂々手段を選ばず
 真っ向から不意討ってご覧に入れましょう”
みたいな。
いや、別に営業だったときに
お客さん相手に手段を選ばず
真っ向から不意討ってたわけじゃないですよ。


今作では6巻で共に旅をすることになったコルや、
ロレンスの商売上のライバルであり、
ホロにとってはロレンスを巡るライバル(?)であるエーブが
良いスパイスになって、存在感を出してます。
この二人、ホロとロレンスにとっては
まさしく”狼と香辛料”なのでは。


そして、今作で一番大きかったのは、
”ロレンスの変化”だと僕は思います。
ロレンスは自分が目指していた世界が、
自分の思い描いていたものとは違ったということに気付きます。
自分には手の届かない世界であることに
気付いてしまった戸惑いと悔しさ、
そしてその結果、朧気に見え始めた新しい世界。
誰しもこういう経験があるのではないでしょうか。
僕にもいくつか思い当たることがあります。
そこに気付いたロレンスが、
ホロとの旅をどう続けていき、どう終わらせるのか、
次巻以降が楽しみです。


『「ぬしが他の雌の前で格好つける姿を見たくありんせん。」
 ホロは少女のように恥ずかしそうに笑いながら言って、
 べっと舌を出した。』