『とらドラ! (10)』

とらドラ!のシリーズ最新巻、そして完結編です。


9巻の展開にイマイチ納得がいっていなかったので、
10巻も、楽しみにはしていましたが、
さほど期待はしていませんでした。


10巻を読み終えても、その不満は解消されませんでしたし、
仕事柄、彼らと同じ世代の子たちと接する機会が多かったので、
過剰にそう感じてしまうのかもしれませんが、
大河や竜児たちのしていることの現実感の無さに
どうしても違和感を感じてしまいました。

小説が現実的でなければならない必要はありませんが。


物語はハッピーエンドで終わっていますが、
それは、ハッピーな時点で切り取っているからであって、
本当の物語はこれからじゃないか?と、
苦い経験をたくさん重ねてきてしまった
ひねくれ者の僕なんかは思ってしまいます。
まぁ、ラノベにそんなとこまで踏み込んでもらっても
心が痛いだけですし。
(実はそんなとこに踏み込んでいる、全然ライトじゃない、
 心を切り裂くようなラノベを一つ知っているのですが。)


でも、そんなんを差し引いても、
このとらドラ!の10巻、そしてとらドラ!シリーズ、
面白い作品でした。
文句付けてるくせに、10巻を読んでる途中で泣きました。
恥ずかしながら、大泣きしました。


”自分を愛してくれる人がいる”
この自信を持てると、人は本当に強くなれると思います。
この自信を持ててこそ、人は本当に人を愛せるのだと思います。


僕はずっとその自信を持てずにいました。
高校生のころ、好きだった子にフラれたとき、
”この子が俺なんかを選ぶような子じゃなくて良かった”と、
本気で思ったほどに。
その後人並みに、何人か恋人と呼べる存在ができても
心の底ではまるで自分を信じきれなかった、
そんな、卑屈、という言葉でしか形容できなかった僕に、
自信をくれた人がいます。
傍から見れば、
恋愛とは呼べない関係だったのかも知れませんが、
彼女のおかげで僕は強くなれました。


だからこそ僕は、今ここに立っていられる。


人を愛することも、人に愛されることもできる。
 

話をとらドラ!に戻します。
大河も竜児も、自信を持って云えるでしょう。
人に愛される、人を愛することができる、と。
その対象が恋人であれ、友人であれ、親であれ。
彼らが自信を持ってそう云えるかぎり、
これから先、彼らの物語がどうなろうとも、
彼らは強く生きていけるでしょう。


これから先の彼らの未来を知ることができないのは
至極残念ではありますが、
先日読んだ、『ナイフ』の言葉を借りるなら、
彼らの運命は彼らだけのもの。
幕が降りたら、観客は席を立つしかありません。


願わくば、彼らのこの先の物語が、明るいものであることを。


『全部望んでやる。
 夢見ることのなにが悪い。 
 希望を抱くことの、なにが罪だ。
 誰一人欠かさない。
 諦めない。』


とらドラ10! (電撃文庫)

とらドラ10! (電撃文庫)


うわ〜。
アルコール、深夜、寝不足、センチメンタル。
スーパーコンボにやられて、かなり恥ずかしいこと書いたなぁ。
でも、これが、僕がとらドラ!を読み終えて、
最初に抱いた感想だ、しょうがない。


ただ一つ……
この文章が娘たちの目に触れるかもしれないと思うと
正直、寒気がするが……
まぁ、彼女らも今の僕が愛する人たちの一人。
そんなんを気にするぐらいなら、
最初からBLOGなんてやらないさや。