『狼と香辛料 Side Colors I,II』

もしかするとこのBLOGの最多登場作品かもしれない
狼と香辛料の新刊です。
コンスタントに新刊がでるというのは
読者としてはありがたいことなのですが、
今作は本編の続きではなく、外伝的なサイドストーリー。


僕はこのてのサイドストーリーがあまり好きではありません。
いや、嫌いなわけではないのですが、
それよりも本編の方を進めて欲しいという気持ちが
どうしても先に立ってしまい、
なんとなく読む気が削がれてしまいます。


ただ最近は、こういうサイドストーリーも読んでおかないと
本編を読んだ際に支障が出る作品も多々あるので、
スルーしていた『Side Colors I,II』合わせて
2冊一気に読了しました。


『Side Colors I』
ホロがまだロレンスと出会う前の中編が一つと、
1巻の直後のエピソードの短編、
そして2巻の直後のエピソードの短編の3編が収録されています。


中編に関しては正直なところあまり好感が持てませんでした。
ホロのしかけた悪戯が
”いくらなんでもそれはやり過ぎだろう”という感じで、
読んでいてちょっとかわいそうになりました。


短編2編は打って変わってラブラブなホロとロレンスのお話。
スピードワゴンの小沢さんばりに甘いです。
これが楽しくて狼と香辛料を読んでるんですけどね。


『Side Colors II』
1巻から5巻の間のエピソードであろう短編が2編と、
女商人エーブの過去を描いた中編の3編が収録。
短編2編は、後書きで作者自身が語っている通り、
激甘仕様です。
『Side Colors I』以上に甘いです。
でもやっぱり、この二人の掛け合いが僕は大好きです。
6巻以降、コル坊が旅の道連れになり、
それはそれで良いスパイスとなってはいるんですが、
二人旅の頃の、
”近づきたいけど、どうやって近づいていいかわからない”、
二人のもどかしいやりとりの方が僕は好きです。


もう一つの中編では、
本編からは想像もできないエーブの姿が見られます。
お話そのものは
それほどインパクトの強いものではありませんが、
エーブがロレンスに惹かれる理由が
これを読んでなんとなくわかった気がしました。


僕にとっての狼と香辛料の魅力は
ホロとロレンスのやりとりともう一つ、
”淡々とした、牧歌的なお話の中でのスリル”があるのですが、
この短編集2冊の中にスリリングな部分はほとんどありません。
それでも、ホロとロレンスを見ていると、
どうしても頬が緩んでしまいます。
僕は悲恋のお話も好きなのですが、
(自分の経験上、悲恋の方が圧倒的に多いんで)
ホロとロレンスに、悲恋は似合わない。
この二人には、最後まで幸せな旅を続けて欲しいと思います。


『わっちが好きなのはな、
 こんなふうに喋りながら、そのまま眠りに落ちること。
 他愛もない、
 耳にくすぐったいだけの言葉を聞きながら、の……』


狼と香辛料〈7〉Side Colors (電撃文庫)

狼と香辛料〈7〉Side Colors (電撃文庫)

狼と香辛料〈11〉Side Colors2 (電撃文庫)

狼と香辛料〈11〉Side Colors2 (電撃文庫)