『偽物語(下)』


今月最大のイベント。
待ちに待った西尾維新氏の新刊、
化物語』シリーズ最新作偽物語の発売日。
本の発売日がここまで待ち遠しかったのは
『ファイブスターストーリーズ』以来です。


まずは講談社の公式サイトからの引用を。

青春は、にせものだけでは終わらない。
“ファイヤーシスターズ”の参謀担当、阿良々木月火
暦の妹である彼女がその身に取り込んだ、
吸血鬼をも凌駕する聖域の怪異とは!?


今回は阿良々木暦のちっちゃい方の妹、
月火がメインのお話ではありますが、
月火ちゃん、ほとんど出てきません。
残念ながら、ひたぎさんも羽川さんも神原も千石ちゃん
ほとんどお話に絡んできません。


基本的にはでっかい方の妹、火燐ちゃんや
八九寺、忍と暦の掛け合いが大半を占めてます。
くだらないことを喋ってたり
意味も無くラブラブしてたり、
アニメ化を前にしたメタなネタだったり。
なんですが、これがもうめちゃくちゃ面白い。
維新節全開。
声を上げて大笑いしながら読みました。


そしてなにより、今回は主人公・阿良々木暦が本当にカッコいい。
回を重ねるごとにダメ人間になっていく阿良々木君ですが、
今作のクライマックスでの彼の台詞には
何か身につまされるものがあり、
思いがけず泣いてしまいました。


西尾氏の作品は僕の琴線に触れるものばかりで、
ただ面白い、読んでいて楽しいだけではないところが、
僕が彼の作品を好きな最大の理由かもしれません。


後半、ストーリーがやや駆け足になってしまっているのと
傷物語以降、妙にエロさが増しているのが気になりますが、
その程度でこの偽物語に傷はつきません。
読み終えてしまうのが寂しくて、
途中で読むのを止めたくなったのは久しぶりです。



『「本物や思てた妹が実は偽物やゆうて知ってもても、
  おどれはこれまでと同じように、
  その妹を愛せるんかいな?」
 「愛せるさ。むしろ今まで以上に愛してやる」


 「義理の妹なんざ――萌えるだけだろうがあ!」』



『「好感度なんかいらねえよ。僕は最低の人間でいい」と。
 僕は――キメ顔でそう言った。


 「お兄ちゃん」


 あいつがそう呼んでくれるなら。
 僕はすべて――それでいい。』



偽物語(下) (講談社BOX)

偽物語(下) (講談社BOX)



今作で完結の予定だった化物語』シリーズですが、
あと2作、八九寺メインの傾物語
羽川翼がメインの猫物語が刊行されることになったそうで、
もう欣喜雀躍、こんなに嬉しいことはありません。
しかも今年中に発売予定。
西尾さん、本当にありがとうございます。



もう一つ、今作において特筆ものなのが、表紙絵の美しさ。
この絵が表紙なら、西尾氏の本じゃなくても手にしていた思います。
傷物語も含め化物語』シリーズは全て
VOFANという台湾の絵師さんが手がけているのですが、
僕の中で、現在No.1のイラストレーターです。


だからこそ余計にアニメ版の絵が納得できないんだよなぁ。
おまけでついてきたリーフレット
主要キャラのアニメ版のイラストが描かれていたのですが、
あまりにもイメージと違いすぎて悲しくなりました。
っていうか、せめて原作の描写にぐらいは合わせようよ。
ひたぎさんがミニスカート履いてちゃダメだろ。
ストーリーの根幹に関わる部分だと思うんだけどなぁ。
アニメ版、あんまり期待できないかも。



追記


すいません。僕が間違ってました。
今、公式サイトでトレーラー2弾を観てきたのですが
――めちゃめちゃ面白そうじゃん。
多少のイメージの違いぐらい気にしないことに決定。
観ます。絶対に観ます。


http://www.bakemonogatari.com/